入賞者 | 平沼 孝啓 |
---|---|
作品名 | Wave Mask (ウェーブマスク) |
職業 | 建築家 |
作品の コメント |
少ない操作で、優れた性能を持つ波型スレート。一般に広く普及した製品であるが、工場や倉庫に多く使用されてきたことや、安価な素材としてイメージが定着していること、そして「アスベスト」という言葉の影響により、負のイメージが先行し、現在、設計者の使用を避けられる傾向にある。これらのイメージを払拭するためには、経済性や、機能性を主張するのではなく、関心が高まっている環境問題を意識した素材として新たなイメージを広くアピールする必要がある。そのため、波形スレートパネルのシンプルで優れた製法を活かし、現状から少し視点を変えた使用方法と、設置場所によって、新たな普及展開を考察した。 具体的には、波型スレートを短冊状に切りとり、山側と谷側をそれぞれ合わせることで、ルーバーを形成する。設置場所には、建築の室内外の天井材として使用する。天井には、配管や空調機器、防火設備や照明器具など、建物に付帯する設備が非常に多く存在するため、これらの機器類を隠す天井材は必要不可欠である。しかし現在の天井材のような密閉式では、建物の構造は隠れ、空間の奥行きや広がりを活用することができない。また、照明器具の反射を抑える効率化や、演出効果を高めるため、ルーバー状の形状から、照明の光や、空調からの風を通し、室内環境を快適に保つことができるのである。 ひとつのパネルが多くの役割を担うことで、不要な物を多数設置する必要がなくなり、経済効果が高く、室内環境も快適になる。また、解体時も分解が可能となり、ライフサイクルコストまでも見据えた、これまでのイメージを払拭するスレートとなってほしい。高価になりがちなエコロジー商品ではなく、見方や、使い方を変えることで、波型スレートの新たな使用方法を展開し、建築・室内環境を向上させ、経済性にも優れた製品の普及を提案の意図としている。 |