受賞者 | PandA(堀 真美+井上 恵一) |
---|---|
作品名 | GREEN PLANT |
職業 | 建築設計 |
作品の コメント |
波型スレートの特性を活かした建築緑化システムを構築し、地球環境、周辺環境及びエンドユーザーについてのメリットを考えました。 |
スレートという無機質な素材を緑化するというアイデアが大変面白い。スレートをダブルに使うことによって、断熱性能も高めている。
全体として、地球環境に優しい提案として高く評価できる。ただし、植栽に対する給水や植物は成長していくので、経年的な変化も考えているかという点が図面ではあまり表現されていない。多分それは十分に可能であると思われる。できれば、投入する植物までも具体的に検討におけば、さらによかったと思われる。デザインはその実現性も問われる。ぜひ造園デザイナーと共同し、実現化に努力して欲しい。
波形スレートと聞いて、2つのイメージがある。一つは工場や大型スーパーマーケットのイメージと、もう一つは以前石綿が使用されていたというイメージである。市街地に建つそれらの建築物は、無機質で殺風景な外観をもつ。これらのイメージを「無石綿波形スレート」を用いて新たな価値を付加するには、どのようにすればよいか。今回のテーマである“環境に優しい”というキーワードにより、工場の建築緑化計画を提案する。それは、無石綿波形スレートが環境に優しいことをアピールするとすれば、ユーザーを含め、一般の人々にもわかりやすい「緑化」という形で無石綿波形スレートを使い建築に利用した方が、効果的な方法であると考えたからである。
緑化にあたり、波形スレートを規格品のまま使うことができないだろうかとスタディーしたところ、2枚の波形スレートをサンドイッチし、その間にできる空洞部分に軽量土団子を並べ、表側スレートに開けられた穴を通して、苗木を植える方法を採用した。緑化する植物は、ある程度植物の高さが全体として見た時に統一できるもの、耐寒性、耐暑性に優れるものが有効と考え、タマリュウ等の常緑多年草を選択した。通常緑化する場合は、防根シートが必要になるが、スレートの性質を考えると、スレート自体で防根が可能である。又、壁面部の緑化については、土落下防止網を用いることで、軽量土団子を支え、2枚のスレートの間の空洞部分に全て土を充填する必要のないものとした。
又工場というビルディングタイプはそれが持つ機能により、形がより単純な方向へ決定する傾向があるので、個々の工場に個性を持たせるために、緑化により、表情をつけることを提案したい。前述の苗木を植える為の穴はヨコ177、タテ200のピッチを設定しており、その決められた穴に異なる種類の植物を植えることで、壁面全体に模様のデザインを施したり、メーカーのロゴデザインを表現することもできる。
環境に対する近年の京都議定書等における地球規模でのCO2削減を目標にする為、工場の空調負荷を軽減し、植物がCO2を吸収しO2を作り出すことで、将来的に予想される削減CO2量に見合う貨幣等価交換に期待できる。また近隣住民に対しても生まれ変わった工場の景観によって企業のイメージアップが図れるのではないかと考えている。